メールソフトのシェア(各種調査リンク集)




メールソフト(メーラー。メール・クライアント)のシェアというのは、ブラウザのシェアと違って調べにくいです。ブラウザのシェアであれば、サーバのアクセスログなどに確実に残ります。もちろん、ユーザーーエージェントを偽装しているケースもあるでしょが、大まかなシェアを調べるのには何の障害にもならないぐらい、そのようなケースは少ないと思われます。(特に最近のバージョンでは、デフォルトではIEのふりをするようなブラウザはなくなりました。ユーザーが意識的に変えない限り、正直に名乗るということです。)

しかし、メールソフトのシェアを調べるのは大変です。特定メーリングリストに投稿されたものを集計すれば、そのメーリングリストの読者のメールソフトのシェアは分かるでしょうが、そのメーリングリストの内容がLinuxのものであれば、Linux用のメールソフトに偏りがちですし、Becky!のメーリングリストならBecky!ユーザーが多くなるのは当然です。もっと言えば、そのメーリングリストのユーザー全員のメールソフトがわかるわけではなく、あくまでも発言者のメールソフトが分かるというだけです。この場合、大活躍しているお助けマンの回答者が特定のメールソフトを使っているなら、そのメールソフトに調査結果が偏る結果になります。

ですから、調査対象をいかに抜き出すかが問題になってきます。アンケートをネット上で行うにしても、そうすると、アンケートに答えるという作業そのものが全くの初心者には敷居が高いため、中級者・上級者に偏る傾向が否めません。かといって、これらの調査が全く無意味というものではなく、一定の意義は十分にあります。

要は、「必ずしも、ネット全体の傾向を示しているとはいえないかもしれない。」という意識を、個々の調査結果を読む人が忘れないことだと思います。

 調査年度によって、メールソフトの盛衰はあります。例えば、Mac OSXの時代になって、MacのメールソフトとしてOutlook Expressを使っているユーザーは激減しているはずですし、一方でApple Mailのシェアは伸びているはずだろうからです。また、ARENA Internet Mailerは2002年9月末日で販売終了しており、それ以降は減少の一途を辿っているはずです。

 2006年度の調査

● 「インターネット白書2006」で見るインターネットの現在(3)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/special/2006/06/21/12414.html
インターネット白書2006」(監修:財団法人インターネット協会、発行:インプレス R&D、定価:7,140円)の紹介記事の中で、メールソフトのシェアについての言及がなされています。Outlook Expressが3分の2近いシェアを占めているようです。

 2005年度の調査

● 人力検索はてな - 愛用のメールソフトを教えて下さい【Windows限定】
http://q.hatena.ne.jp/1123487739
人力検索はてなで、1,000名を対象に実施された簡易アンケート。「Webメールがメイン」という選択肢も含まれていますので、なかなか有用です。この調査では、Outlook Expressのシェアは4割を切っています。

 2004年度の調査

● RSSリーダー利用者は4.7%--アプリケーション利用実態調査より - CNET Japan
http://japan.cnet.com/column/trend/story/0,2000055931,20070264,00.htm
CNET JapanとYahoo!リサーチが共同で行ったITトレンド調査。調査対象は、「Yahoo!リサーチ・モニター」に登録するネットユーザーに。約4人に3人がOutlook ExpressもしくはOutlookを使っているとの結果になっています。

 2003年度の調査

● ネットユーザー利用動向基礎調査【前編】
http://www.newsrelease.jp/release/business/0307/0701001.html
株式会社バカボンドの調査(約1千名を対象に)。ここでも、Outlook ExpressとOutlookのシェアは圧倒的なものになっています。




 (番外編・参考)調査対象の属性に大きな偏りが見られる場合の調査結果


下記のサイトは、もともと、ネット全体のユーザーシェアを調べるために行われたものではなく、ですから調査自体の方法(調査対象の選別)に問題があるということを言いたいわけではありません。下記の調査は、それぞれ、とても意義のある調査だと思っています。

ここで言いたいのは、逆に、「ネット全体のユーザー層を反映したものである」というふうに思えるような上記のような調査でさえも、本当にネット全体のユーザー層を反映したものであると言えるかどうかはよく検証しないと分からないですよ」という意味です。誤解なきようにお願いします。

たとえば、この手の調査は、ネット上で行われることが多く、そのため、アンケートに答えるユーザーというのは、基本的にアクティブなユーザー、中級者・上級者が実態以上に多くなってしまう傾向が考えられます。

● [linux-users:42275] お薦めのメーラーは?
http://his.luky.org/ML/linux-users.4/msg02276.html
調査は1999年のものであり古いですが、やっぱりLinuxユーザーのためのメーリングリストで使用されているメールソフトは特別です。一般的なメールソフト(メーラー)のシェアとは明らかに乖離していますね。Mewが上位を独占しています。(このメーリングリストの投稿者が特定の数人に偏っているならば、特定のソフトのシェアが実態以上に大きくなることがありえます。)


● 【結果発表】HTMLメールをどう思いますか?:ITpro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20030609/1/
この調査の中で、回答者の使用しているメールソフトのシェアも発表されていますが、Becky!がOutlook Expressを抑えて第1位に輝いています。本文中の記載には、「なお,以下のアンケート結果は,必ずしもIT Pro会員全体の傾向を示したものではありませんので,ご注意ください。『HTMLメールはやめよう』と題した記事を読まれた方が対象です。 」とあります。基本的に、「HTMLメールはけしからん」と思っている人(つまり、HTMLメールの問題点を理解できる中級者・上級者)が中心にアクセスしているはずであり、そのため、調査結果に偏りが生じやすいです。というより、これはメールソフトのシェアを調べるための調査ではなく、付属的に調べたものなので、これはこれで全く問題ないものです。「主に使用しているメール・ソフトの種類による,HTMLメールに対する意識の違いの例」など面白い調査結果も発表されています。

なお、この調査は2003年に実施されたものであり、XP SP2リリース前と思われます。そのため、この時代のOutlook ExpressはWEBビーコンなども、プレビュー時にそのままダウンロードされていました。ですから、余計にOutlook Expressへの批判があったものと思われます。その結果、アンチOutlook Express派の人たちのアクセスが殺到したものと思われます。


● 迷惑メール撲滅委員会/学習型迷惑メールフィルター搭載/迷惑メールからあなたを守る/メールソフト比較/Outlook Expressからの乗り換えも簡単なメーラー
http://www.justsystem.co.jp/shuriken/mail/?w=shr
Justsystemのメールソフト「Shuriken」のユーザーが、同ソフトを購入前に使用していたメールソフトの統計が掲載されています。もちろん、これはユーザーシェアそのものを示すものではありませんが、一定程度参考になると思います。

(満足度の高いメールソフトであれば、Shurikenを改めて購入することもないと思いますので、この調査結果のグラフには出てこないはずですが、代表的なメールソフトはまんべんなく出ているというのが個人的評価です。ただし、「Shuriken」はWindows用ソフトですので、その調査対象はWindowsユーザーに限られていると思われ、その結果、本来上位表示されるはずの「Apple Mail」などは出現しません。)


● [jarvi:15797] 視覚障害者の使用メーラー調べました。
http://www.twcu.ac.jp/~k-oda/VIRN/JARVI-MLTD/other-soft/mailer.html
音声ガイドによる操作が可能な「Mm-Mail」が上位に来ていることが特徴的です。